1979–1980s
近すぎた時代を、再現する。
1950年代の名器を追ったSpringy Sound。 その隣でTokaiは、まだ古いとは思われていなかったCBS期のStratocasterにも目を向けていました。 Silver Starは、その早すぎる再評価から生まれます。
大きなヘッドにも、LARGE HEAD / BULLET TRUSS ROD
その時代の音がある。
FOUR BOLT / THREE BOLT / TILT
当時の1970年代型は、まだ「過去」ではなかった。
いまではラージヘッド、ブレット型トラスロッド、3点止めネックも、 Stratocaster史の一部として語られます。 しかしSilver Starが現れた頃、 それらはまだ記憶に新しい現行世代の姿でした。
Tokaiが面白いのは、 評価の固まった1950年代型だけでなく、 この近すぎる時代にも独自の個性を見いだしたことです。 Silver StarはSpringy Soundの簡略版ではなく、 別の年代を入口にしたもう一つの研究でした。
最初に見えるのは、36,000円のSS-36。
1979年1月現在のCatalogue Vol.2には、 SS-36がBB、OW、YSの三色、定価36,000円で掲載されています。 現時点で確実に言えるのは、 この時点でSilver Star系の製品がカタログに存在したことです。
価格だけを見れば入門機に見えます。 しかし、ラージヘッドを採用した意味まで価格で説明することはできません。 Tokaiはスモールヘッド期とは異なるStratocaster像を、 手の届く製品として提示しました。
DOCUMENT
Catalogue Vol.2、昭和54年1月現在。
MODEL
SS-36、BB/OW/YS。
LIST PRICE
36,000円。
Silver Starは、評価の定まった名器を追ったのではない。 まだ評価の途中にあった時代を選んだ。
THE OTHER TOKAI STRATOCASTER STORYカタログが選んだ言葉は、「Modern」だった。
1981年のFlat brochureでは、 Springy系がVintage/Oldiesとして整理される一方、 Silver Starは「Modern Stratocaster」として紹介されています。 そこにはSS-40、48、60、80、85が並びました。
この呼び方は重要です。 現在の私たちはSilver StarをJapan Vintageとして見ますが、 当時のTokaiは古いものの復刻としてではなく、 より新しい時代のStratocasterとして位置づけていたからです。
ラージヘッドの中にも、二つの時代があった。
Silver Starは、すべてが同じ1970年代仕様ではありません。 記事の比較では、1966年頃を意識した4点止めネックのモデルと、 1970年代型の3点止め・ティルト調整付きモデルが分けられています。
ブレット型トラスロッド、スカンクストライプ、 ストリングガイドの数、ポジションマーク、ネックジョイント。 ラージヘッドという一つの特徴の内側にも、 年代差が作り込まれていました。
1966 TYPE
4点止めを基本に、移行期の特徴を読む。
1970s TYPE
3点止め、ティルト調整、ブレット型ロッド。
共通点ではない
仕様はモデル・時期で異なり、一特徴だけで断定しない。
一機種から、選べるシリーズへ。
1982年12月のCatalogue Vol.6では、 SS-38、40、48、50、60、80が確認できます。 1979年のSS-36から数年を経て、 Silver Starは価格と仕様の異なるシリーズへ育っていました。
モデル番号の違いは、単純な優劣だけではありません。 ボディ材とピース構成、ネック、ペグ、電装、 ピックアップ、ブリッジなど、 どの年代像と価格帯を組み合わせるかという選択でした。
大きなヘッドは、見た目だけの違いではない。
ヘッドの質量、ストリングガイド、 ナットへ向かう弦の角度、ネックの作り、ジョイント方式。 Silver Starの特徴は、輪郭だけを見ても分かりません。
ピックアップのスタンプ、ポット、セレクター、 トレモロブロックにもモデルと時期による差があります。 カタログ名、シリアル、ロゴ、ネックエンド、ボディ内部を重ねて、 初めて一本の位置が見えてきます。
