TONE OF DREAMS / KNOWLEDGE ARCHIVE
STORIES
JOURNAL / STORY 03
TOKAI / 1979–1982
JOURNAL / STORY 03
1979–1982 / THE SERIES EXPANDS

一つの名前では、語れなくなる。

1979年。 Springy Soundはすでに、一つのギターだけを指す名前ではなくなっていました。 モデル、価格、仕様。 さらに、どの時代のStratocasterを見るのか。 当時の資料を追うと、Tokaiの選択肢が少しずつ枝分かれしていく過程が見えてきます。

79–82
増えたのは、
モデルだけではなかった。
MODEL / PRICE / SPECIFICATION
VINTAGE / OLDIES / MODERN

1979年。
カタログは、シリーズを読むものになっていた。

1977年の広告では、 Springy Soundの「デビュー」が強く打ち出されていました。 そこにあったのは、新しいギターが登場する瞬間の熱気です。

それから時間が進み、 1979年1月現在の「TOKAI ELECTRIC GUITAR MANUAL VOL.2」を見ると、 景色は変わっています。

ST-42、ST-50、ST-60、ST-80、ST-100。 同じST Seriesの中に、 複数の価格、仕様、仕上げを持つモデルが並んでいます。 カタログは単に一本の新製品を紹介するものから、 製品体系そのものを説明するものへ広がっていました。

このStoryでは、 どのモデルが「上」なのかを決めるのではなく、 Tokaiが一つのStratocaster像から、 どのように複数の選択肢へ広げていったのかを読みます。

ARCHIVE DOCUMENT 01

TOKAI
ST SERIES

PERIOD CATALOGUE
MODEL / NECK / BODY
PICK-UP / FINISH

Tokai ST Series period catalogue
TOKAI ST SERIES / PERIOD CATALOGUE — モデルごとのNeck、Body、Pick-ups、Finishなどを整理した当時資料。
READING 01 / ONE NAME, DIFFERENT GUITARS

同じSTでも、
中身は同じではない。

STという一つのシリーズ名の下に、 複数のモデルが置かれています。 しかし、その中身まで一つではありません。

Neck、Body、Pick-up、Tuner、Nut、Finish。 当時の資料では、 モデルによって異なる仕様が設定されていることが確認できます。

ここで大切なのは、 モデル番号を単純な格付けとして見ることではありません。 どの部分に、どの仕様を与えるのか。 価格の違いの背後には、 Tokaiが組み立てた製品設計があります。

DOCUMENT FACT

当時資料では複数のSTモデルについて、 Neck、Body、Color、Pick-up、Switch、Tuner、Nut、Finishなどが モデル別に整理されています。 同じモデル番号でも年代によって仕様が変わる可能性があるため、 年式と資料を組み合わせて確認する必要があります。

数字が増えるほど、違いも増えていく。

初期のSTシリーズでは、 ST-42、ST-50、ST-60、ST-80、ST-100など、 当時の価格と結びついたモデル番号が使われています。

そして資料を追うと、 ST-55N、ST-65N、ST-85Nなどの名称も現れます。 製品体系は固定されたままではなく、 時期とともに更新されていました。

さらに重要なのは、 数字だけが違うのではないことです。 ネック形状、塗装、Pickup、Hardwareなど、 実際の仕様にも違いが与えられています。

MODEL NUMBER

モデル番号は、 当時の価格体系と強く結びついています。

SPECIFICATION

木材、塗装、Pickup、Hardwareなど、 価格以外にも複数の差が存在します。

CAUTION

同じモデル番号を、 全年代で同じ仕様として扱わないことが重要です。

ARCHIVE DOCUMENT 02

ST-80
AND THE RANGE

MODEL / COLOR
CONSTRUCTION DETAILS
PERIOD PROMOTIONAL MATERIAL

Tokai ST-80 period catalogue page
TOKAI ST SERIES / ST-80 — ST-80を中心に、カラー、構造、各部の特徴を紹介した当時資料。
READING 02 / DIFFERENCE BECOMES VISIBLE

違いは、
数字の外にも現れている。

モデル一覧だけを見れば、 ST-42からST-100までの違いは 数字や価格の差に見えます。

しかし当時のカタログは、 ギター全体だけではなく、 Neck、Bridge、Pickup、Body、 さらに内部の電装まで見せています。

外から見える形だけではなく、 演奏者の手に触れる部分、 音に関わる部分、 そして普段は見えない内部まで説明する。

そこから見えてくるのは、 「Vintageらしい外観」を一種類つくっただけではなく、 一つのST Seriesの中に 複数の仕様を持たせていたという事実です。

選べるのは、
値段だけではなかった。

モデルの増加は、 単に予算別の商品を増やしたということだけではありません。

MapleとRosewood。 U shapeとV shape。 PolyurethaneとLacquer。 Pickupの違い。 Hardwareや仕上げの違い。

「どのSTを買うか」という選択は、 どの仕様を選ぶのか、 どの感触を選ぶのかという選択でもありました。

Springy Soundは、 一つの完成形をそのまま複製していくシリーズではなく、 共通する考え方の中に 異なる仕様を持つ製品体系へ広がっていきます。

1979年。
もう一つのStratocaster像が見えてくる。

1979年1月現在のElectric Guitar Manual Vol.2には、 ST Seriesとは異なる姿を持つSS-36も掲載されています。

ラージヘッド、 ブラックのピックガード。 一目見ただけでも、 Springy Soundが強く意識していた初期Stratocasterとは 異なる時代の特徴が見えてきます。

これは、 単にモデルが一つ増えたという話ではありません。

Springy Soundだけを見ていると、 Tokaiが見ていたStratocaster像は 一つだったようにも見えます。 しかしSS-36まで視野を広げると、 同じStratocasterタイプの中でも、 参照する時代そのものが広がり始めていたことが分かります。

DOCUMENT FACT

1979年1月現在のElectric Guitar Manual Vol.2に、 SS-36が掲載されています。

VISIBLE DIFFERENCE

ラージヘッドなど、 ST Seriesとは異なる時代的特徴を見ることができます。

TOD READING

モデルの多様化だけではなく、 参照するStratocasterの年代そのものが 広がっていたと読みます。

違っていたのは、
仕様だけではない。
見ていた時代も違っていた。

TONE OF DREAMS / READING THE 1979 CATALOGUE

価格だけでなく、
「どの時代を見るか」へ。

1979年のSS-36で見えていた、 Springy Soundとは異なるStratocaster像。 その違いは、 後の資料ではさらに分かりやすい形で整理されていきます。

1981年前後の資料では、 TokaiのStratocasterタイプが Vintage、Oldies、Modernという言葉で示されます。

ここで製品選択の意味は、 価格や個別仕様だけではなく、 「どの時代のStratocasterを見るのか」という違いへ さらに広がっていきます。

1950s TYPE

初期Stratocasterを意識した方向。

1960s TYPE

1960年代の特徴を意識した方向。

CBS ERA

Silver Starへつながるラージヘッド系。

一つの名前では、
一本を説明できない。

TONE OF DREAMS / JOURNAL STORY 03
CONCLUSION / 1979 → 1982

違いが増えたことで、
選ぶ理由も増えていった。

Model、Price、Neck、Pickup、Finish。 そして、どの年代のStratocasterを見ているのか。

1979年のElectric Guitar Manual Vol.2を見ると、 TokaiのStratocasterタイプはすでに、 一つのSpringy Soundという名前だけでは 語れないところまで広がり始めています。

さらに時代が進むと、 その違いはVintage、Oldies、Modernという 「参照する時代」の違いとしても整理されていきます。

だから現在残っている一本を見るときも、 LogoやModel Nameだけで判断することはできません。 年式、モデル、仕様、 そして実際にその個体に何が残っているのか。

一つずつ確かめることで、 初めてその一本がどこにいたギターなのかが見えてきます。

TONE OF DREAMS / JOURNAL STORY 03 / 1979–82
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